憲法択一 統治 内閣 内閣の組織と権能


・憲法66条1項・74条が、国務大臣・行政長官一人制を採用していることを示していることを前提とすると、行政組織のうち基本的な機関の設置については法律事項と解釈することができる。

・日本国憲法73条4号は、明治憲法10条本文の任官大権に関する事務の一部について、法律の定める基準によるとしている。これとの均衡上、明治憲法10条本文が定めていた行政組織の編成についても基本的には法律の定めが要請されるとの解釈が可能である。もっとも、行政の硬直化を避ける趣旨から、内部部局のあり方までは法律の専権事項とみられないと解釈することも可能である。

・ある国務大臣が国会議員の資格を失ったことによって、国務大臣の過半数は国会議員でなければならないとの条件が満たされなくなった場合は、国会議員の資格を有しないほかの国務大臣を罷免し新たに国会議員の資格を有する国務大臣を任命することによっても内閣の組織要件を満たすことができる。

・内閣が閣議によって職権を行うことは法律上明文で定められている(内閣法4条1項)が、閣議の定足数や表決数等の議事に関する特別の規定はなく、すべて慣習によるものとされている。

・閣議とは、会議のみを意味する場合と内閣の決議のみを意味する場合がある。内閣法4条1項は、後者を意味するため、持ち回り閣議を排除するものではない

・内閣の連帯責任は本質的には政治責任である。←66条3項は責任の内容・原因とも何ら限定していない以上、内閣の連帯責任は本質的に法的責任ではなく政治的責任である。

・閣議の議決方法については、全会一致でなされることが慣習上確立しているが、憲法の明文で規定があるわけではない。

・内閣の連帯責任は、必ずしも国務大臣の個人的責任を排除しない。

・内閣は行政権の行使について国会(×国民)に対し連帯して責任を負う(66条3項)

・66条3項は各議院が個別に内閣に対し責任を追及することを否定する趣旨ではない。

・内閣は天皇の国事行為の助言・承認に対して政治的な裁量を行使し、この点についての責任を国会に対して負う。

・内閣総理大臣の指名は他のすべての案件に先立って行われるが(67条1項後段)、その議決に先立ち、議院が有効に活動するための前提となる議長の選任や会期の決定等の案件を審議・議決することは許される。

・参議院議員のなかから内閣総理大臣を指名することも可能である。

・内閣総理大臣たる参議院議員を参議院は除名することもできる←自律権から。

・内閣総理大臣が国会議員であることは、指名の際の要件であり、在職の要件ではないという立場に立ったとしても、当選無効により国会議員の資格を失ったときは、そもそも指名の際に国会議員でなかったのであるから、当然に内閣総理大臣の資格を失う。

・天皇による認証(7条5号)は、国務大臣の任命が正当な手続きでなされたことを公に証明する行為に過ぎない。→内閣総理大臣が国務大臣を任命した時点で、合議体としての内閣は成立する。

・国務大臣の任免権(68条1項本文、2項)及び国務大臣の訴追に対する同意権(75条本文)については、内閣総理大臣の専権事項である。

・予算の作成提出については、閣議にかけて決定する必要がある。←内閣の権能とされているから(73条5号)+内閣がその職務を行うのは閣議による(内閣法4条1項)

・内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免(=本人の意思に反して一方的に)することができる(68条2項)。

・憲法72条は内閣総理大臣が内閣を代表して行政各部の指揮監督を行うと規定しているが、行政各部の指揮監督は、本来内閣の権限であるから、原則として閣議を経て行使されるべきものとする。→内閣は国会に対して政治的責任を負う(66条3項)

内閣総理大臣は、内閣を代表して、一般国務及び外交関係について国会に報告する(72条)。国会はこれらの報告を受け、また報告を要求する権能を有する。

・外交関係の処理(73条2号)、条約の締結(73条3号)は内閣の事務(×内閣総理大臣)である。

・国務を総理するのは内閣であって(73条1号)内閣総理大臣ではない!!!!!!。

・内閣総理大臣は、すくなくとも、内閣の明示の意思に反しない限り、行政各部に対し、随時、その所掌事務について一定の方向で処理するよう指導、助言等の指示を与える権限を有する(ロッキード丸紅ルート事件)=各国務大臣が所管事項についてする行政指導に対し支持を与えることも内閣総理大臣の権限の範囲内といえる。

・73条以外に、65条が内閣が行政事務を行う一般的権限を有する規定としてある。

・「実施するため」(73条6号)とは法律の存在を前提とするということであり、議会を通さない緊急命令や独立命令は認められない。既存の法律に代替する内容を定める代行命令も認められない。⇔法律の執行に必要な細則を定める執行命令と、法律の委任に基づく委任命令に限定される。

・制定された法律を内閣が違憲と判断した場合でも、天皇によるその法律の公布に助言と承認を与えることを拒否することはできない。←内閣は法律を誠実に執行する義務を負うことから(73条1号前段)

・内閣の法案提出権には、既に存在する法律を廃止する案を提出する権限も含まれている。

・成立した法律には、主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することが必要とされるが(74条)、かりにそれらが欠けても、法律の効力や内閣の法律執行義務には影響はない

・内閣は衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない(69条)。

・内閣総理大臣が欠けたときは、内閣は総辞職をしなければならない(70条)。←憲法は、内閣総理大臣に「首長」たる地位を与えており、これが欠けた場合には内閣の一体性が失われることになるから。

・「欠けたとき」(70条)とは、死亡、失踪、亡命、国会議員となる資格を喪失した場合などを指す。

・内閣総理大臣の病気や一時的な生死不明は「欠けたとき」ではなく、「事故のあるとき」(内閣法9条)に当たり、臨時代理が置かれるに過ぎない。

・内閣総理大臣に事故があるときや欠けたときは、内閣総理大臣があらかじめ指定した国務大臣が内閣総理大臣の職務を行う(内閣法9条)。


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