会社法 事例で考える会社法 事例9 名前ってなに?


Ⅰ はじめに

Ⅱ 設問1について
1.はじめに
+(譲渡等の承認の決定等)
第百三十九条  株式会社が第百三十六条又は第百三十七条第一項の承認をするか否かの決定をするには、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
2  株式会社は、前項の決定をしたときは、譲渡等承認請求をした者(以下この款において「譲渡等承認請求者」という。)に対し、当該決定の内容を通知しなければならない。

2.株式譲渡承認決議
・会社にとって好ましくない者が株主になることを防止
・株主間の割合についても。

・すべての株主が賛成している場合
+判例(H9.3.27)
理由
上告代理人村田由夫、同竹本昌弘の上告理由について
原審が確定したところによれば、昭和五四年一二月三〇日における被上告人有限会社芦屋寶盛館の社員は、A、上告人及び被上告人Bの三名で、各一〇〇口の出資口数に応じた持分を有していたところ、Aは、同日、その持分の一部をC、D、E及びFに対して贈与したが、右贈与につき、被上告会社の社員総会の承認はなかったものの、右社員全員が右贈与を承認していたというのである。原審の右事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯するに足り、その過程に所論の違法はない(なお、原判決一六枚目裏一行目に「昭和五五年」とあるのは、「昭和五四年」の誤記と認める。)。
有限会社法一九条二項が、社員がその持分を社員でない者に譲渡しようとする場合に社員総会の承認を要するものと規定している趣旨は、専ら会社にとって好ましくない者が社員となることを防止し、もって譲渡人以外の社員の利益を保護するところにあると解されるから、有限会社の社員がその持分を社員でない者に対して譲渡した場合において、右譲渡人以外の社員全員がこれを承認していたときは、右譲渡は「社員総会の承認がなくても、譲渡当事者以外の者に対する関係においても有効と解するのが相当である。
そうすると、前記事実関係の下において、右贈与を有効とした原審の判断は、正当として是認することができ、右判断の違法をいう所論は理由がない。
その余の所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。
以上によれば、論旨は、いずれも採用することができない。
よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 藤井正雄 裁判官 小野幹雄 裁判官 高橋久子 裁判官 遠藤光男 裁判官 井嶋一友)

++解説
《解  説》
一 有限会社法一九条二項は、社員がその持分を社員でない者に譲渡しようとする場合においては社員総会の承認を要するものと規定している。本件では、社員総会の承認はないが、譲渡人以外の社員全員が譲渡を承認していた場合に、当該譲渡が譲渡当事者以外の者に対する関係においても有効といえるかが問題となった。本判決は、最高裁としてこれを肯定したものである。
二 本件は、Xが、有限会社Y1及びその代表取締役Y2に対し、同社の二〇〇口の出資持分を有することの確認と、Y1に対し、同社の代表権を有する取締役であることの確認を求めた事案である。
三 以下においては、有限会社の持分に関する点を中心に事案の概要及び訴訟の経緯を紹介する。
1 Aは、書籍販売等を目的とする訴外株式会社の代表取締役かつ実質的オーナーであった。有限会社であるY1は、訴外株式会社の支店であったものが、最終的に別法人とされたものである。Y1の設立当初は、Aの長男であるXが代表取締役となった。Aには、訴外株式会社を長男Xに、Y1を長女B(Xの妹)に継がせたいとの意向があって、Bの夫にY2を迎え(その間の子がC、D、E)、Y2がY1の代表取締役となった。
2 本件訴訟では、持分に関し、(1) Y1設立当時、Xが単独で全持分三〇〇口を有していたか、(2) Aも持分を一〇〇口有していたとした場合、Aの死亡でその半分をXが相続したか、それとも、AがB、C、D、Eに対して持分の生前贈与をしたことで右相続による取得はあり得ないか、(3) XからY2への一〇〇口の持分譲渡は有効か、などが争われた。
3 一審が一〇〇口の限度でXの請求を一部認容したのに対し、控訴審(双方控訴)は、(一) Y1の設立当初、A、X、Uが各一〇〇口の出資持分を有していた(定款の記載と同じ)、(二) 昭32・3・17、Y2は、UからY1の出資持分一〇〇口を譲り受けるとともにY1の代表取締役に就任し、他方、Xは、Y1の代表取締役を辞任するとともに、Aから訴外株式会社の全株式を譲り受け、同社の代表取締役に就任した、(三) 昭54・12・30当時におけるY1の社員は、A、X、Y2の三名で各一〇〇口の持分を有していたが、Aは、その持分を、同日、昭55・12・30及び同56・7・21の三回に分けて、B、C、D、Eに対し、各合計二五口ずつ贈与したものであるところ、当時、右贈与についてY1の社員総会の承認があった事実を認めることのできる証拠はないが、Xは、右贈与を承認していたものと推認され、結局、右贈与は、Y1の社員全員の承認があり有効である、(四) 昭59・2・23、Xは、持分一〇〇口をY2に有効に譲渡し、持分のすべてを失った、などと判示して、Xの請求をすべて棄却した。
4 Xが上告し、原審の事実認定を非難するとともに、贈与の有効性に関する原審の判断が有限会社法一九条に反するなどと主張した。
5 これに対し、本判決は、事実認定に関する上告理由を排斥し、有限会社法一九条二項の趣旨につき、「専ら会社にとって好ましくない者が社員となることを防止し、もって譲渡人以外の社員の利益を保護するところにある」とした上、判決要旨のとおり判示して、Aの贈与を有効であるとした原審の判断を是認した(上告棄却。なお、本件では、有限会社法二〇条所定の対抗要件に欠けるところはない。また、最初の贈与が有効であれば、二回目以後の贈与は社員間の譲渡となって問題はない。)。
四 有限会社法一九条二項と類似の規定として、株式会社の株式譲渡につき、定款をもって取締役会の承認を要する旨を定めることができるとする商法二〇四条一項ただし書があり、最三小判平5・3・30民集四七巻四号三四三九頁、本誌八四二号一四一頁は、本判決と同様に右譲渡制限規定の趣旨を説示した上、「いわゆる一人会社の株主がその保有する株式を他に譲渡した場合には、定款所定の取締役会の承認がなくとも、その譲渡は、会社に対する関係においても有効と解するのが相当である。」と判示している。ただ、右は、譲渡人以外に株主が存在しない一人会社に関するもので、他に社員ないし株主が存在し、その全員が譲渡を承認していた場合に関しては、有限会社の事案についてではあるが、本判決が初めて最高裁としての判断を明示したことになる。
有限会社法一九条二項、商法二〇四条一項ただし書の譲渡制限規定の趣旨が譲渡人以外の社員(株主)の利益を保護するところにあると解され(上柳=鴻=竹内・新版注釈会社法(14)一四五頁〔担当神崎克郎〕など、学説でもほぼ異論はないようである)、その保護の対象となる社員(株主)全員が譲渡を承認している以上、当該譲渡の効力を否定すべき理由はないと思われる。
学説をみても、株式の譲渡制限に関する議論ではあるが、株主全員の承認があれば取締役会の承認がなくても会社に対する関係においても譲渡は有効であるとの結論においては、ほぼ異論がないように見受けられる(右平成5年判決、東京高判平2・11・29判時一三七四号一一二頁及び東京地判平1・6・27金判八三七号三五頁の評釈等である、森淳二朗・法セ四三二号一二四頁、野村直之・本誌七九〇号一六八頁、鈴木千佳子・法学研究(慶応)六九巻九号一八九頁、藤原雄三・判評四三〇号四四頁、西尾信一・手研四九九号六〇頁、坂田桂三=酒巻俊之・司法研究所紀要第三巻一四五頁、小野寺千世・ジュリ一〇四七号一二二頁、永井和之・金法一二九六号四頁、森本滋・会社法〔第二版〕一五六頁等参照。なお、反対説と解されるものとして、伊藤壽英・金判八四七号三三頁がある)。
ところで、本件のような持分譲渡を社員総会の承認がなくても有効であるとする考え方を分析すると、第一に、譲渡人以外の社員全員の承認がある以上、これらの者の利益保護を問題とする余地はないとの考え方(実質的にみて譲渡制限規定を適用する前提を欠くということになろうか)、第二に、社員全員の承認があることで社員総会の承認に代置ないし同視し得るとの考え方があり得るように思われる。他方、株式会社の場合についてみると、第一の考え方はここでも同旨の説明ができるが、第二の考え方では、株主全員の承認と取締役会の承認という構成員を異にするものの間での代置ないし同視が問題となるので、有限会社ほど説明が容易ではなく、何らかの理論的説明を要する。その結果、理論構成をめぐって更に見解が分かれている(前掲各学説参照)。
本判決では、右いずれの考え方によるかは明示的には判示されていないというべきであろうが、その説示等から推察するならば、第一の考え方のように理解し得るのではなかろうか。そうであるとすれば、株式会社において譲渡人以外の株主全員の承認がある場合についてもこれと同旨の説明が可能であろう。
五 本判決は、有限会社の社員全員の承認の下にされた持分譲渡の効力に関し、最高裁として初めての判断を示したもので、重要な判例といえよう。

・一人会社の場合
+判例(H5.3.30)
理由
上告代理人菅野孝久、同神谷光弘の上告理由第一点について
上告人が資本の額一〇〇〇万円の株式会社であって、その代表取締役にAが就任している旨の登記がされていることは、原審の適法に確定したところであり、また、本訴において、被上告人らのうちB、C及びDの三名は、いずれも自己が上告人の取締役の地位にあると主張して、その旨の地位確認とAを取締役に選任する旨の上告人の株主総会の決議が存在しないことの確認等を求めたところ、これに対し、Aは上告人の代表取締役として応訴し、右三名が上告人の取締役であることを争ったことは、記録上明らかである。
ところで、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(以下「商法特例法」という。)二四条一項は、資本の額が一億円以下の株式会社(以下「会社」という。)が取締役に対し、又は取締役が会社に対して訴えを提起する場合には、その訴えについては、取締役会が定める者が会社を代表する旨規定しているところ、所論は、右三名が提起した訴えについても、右規定により上告人の取締役会が定めた者が上告人を代表して応訴すべきであったもので、右訴えに関する訴状の送達から原判決の言渡しに至るまでのすべての手続は無効であるというのである。
しかしながら、商法特例法二四条一項が会社と取締役との間の訴訟について会社の代表取締役の代表権を否定したのは、代表取締役は、本来会社の利益を図るために会社を代表して訴訟を追行すべきところ、訴訟の相手方が同僚の取締役である場合には、会社の利益よりもその取締役の利益を優先させ、いわゆるなれ合い訴訟により会社の利益を害するおそれがあることから、これを防止する趣旨によるものと解される。そうすると、会社を代表する代表取締役において当該訴訟の相手方を取締役と認めていないときは、右の意味におけるなれ合いのおそれはないことが明らかであるから、会社を代表する代表取締役において取締役と認めていない者は、同項にいう取締役に当たらないものと解するのが相当である。したがって、上告人の代表取締役として応訴したAにおいて右被上告人三名が上告人の取締役であることを争っている本件にあっては、右三名は同項にいう取締役に当たらず、右三名が提起した訴えについては同項は適用されないといわなければならない。原審のこの点に関する判断には、措辞適切を欠く部分があるが、その結論は正当として是認し得る。論旨は採用することができない。

同第二点について
原審の適法に確定したところによると、上告人の全株式二万株を保有していたAは、このうち一万二〇〇〇株を被上告人Bに、三〇〇〇株を同Dに譲渡したが、右各譲渡については、上告人の定款所定の取締役会の承認はなかったというのである。
ところで、商法二〇四条一項ただし書が、株式の譲渡につき定款をもって取締役会の承認を要する旨を定めることを妨げないと規定している趣旨は、専ら会社にとって好ましくない者が株主となることを防止し、もって譲渡人以外の株主の利益を保護することにあると解される(最高裁昭和四七年(オ)第九一号同四八年六月一五日第二小法廷判決・民集二七巻六号七〇〇頁参照)から、本件のようないわゆる一人会社の株主がその保有する株式を他に譲渡した場合には、定款所定の取締役会の承認がなくとも、その譲渡は、会社に対する関係においても有効と解するのが相当である
原判決にはその説示において必ずしも適切でないところがあるが、前示の各株式譲渡は上告人に対する関係においても有効とした原審の判断は、正当として是認することができる。論旨は、採用することができない。
その余の上告理由について
論旨は、原審の裁量に属する審理上の措置の不当をいうか、又は原審の判断と関係のない事項を挙げて原判決の不当をいうものにすぎず、採用することができない。
よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 坂上壽夫 裁判官 貞家克己 裁判官 園部逸夫 裁判官 佐藤庄市郎 裁判官 可部恒雄)

3.名義書換未了株主の権利行使

+(株主名簿)
第百二十一条  株式会社は、株主名簿を作成し、これに次に掲げる事項(以下「株主名簿記載事項」という。)を記載し、又は記録しなければならない。
一  株主の氏名又は名称及び住所
二  前号の株主の有する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)
三  第一号の株主が株式を取得した日
四  株式会社が株券発行会社である場合には、第二号の株式(株券が発行されているものに限る。)に係る株券の番号

+判例(S30.10.20)
理由
論旨第一点について。
商法二〇六条一項(昭和二五年法律一六七号による改正前の、本件株主総会決議当時の同条項をいう。)によれば、記名株式の移転は、取得者の氏名及び住所を株主名簿に記載しなければ会社には対抗できないが、会社からは右移転のあつたことを主張することは妨げない法意と解するを相当とする。従つて、本件においては、訴外Aが訴外Bの被上告会社の株式一〇株を譲り受けたことについて、株主名簿に記載してないことは所論のとおりであるが、それは右譲渡をもつて被上告会社に対抗し得ないというに止まり、会社側においては、株主名簿の書換が何らかの都合でおくれていても、右株式の譲渡を認めて譲受人Aを株主として取り扱うことを妨げるものではない。そして仮に所論のとおり、会杜がAを株主名簿の記載により五〇〇株の株主と認めてこれに株主総会招集の通知を発したものであるとしても、原審は、証拠により、Aが昭和一八年一二月一日Bから被上告会社の株式一〇株を譲り受け、その頃被上告会社に名義書換を請求したことを認定しているのであるから、被上告会社が、Aを、その所有株数を何程と認めたかは別として、株主と認めてこれに株主総会招集の通知を発したこと及びこれに基き同人が株主総会に出頭したこと自体は、結局において違法ということはできない。それ故所論は採用できない。

同第二点について。
原審は証拠により昭和一八年一二月一日BよりAへ被上告会社の株式一〇株が譲渡されたことを認定した上、本件株主総会当時Aは少くとも一〇株の株主であつたものと認めるのを相当とすると判示しているのである。それ故原判決には所論のような違法は認められない。

同第三点、第四点について。
原審は、本件において、株主総会の決議事項について特別の利害関係を有する株主の株式を表決から除外する措置をとらなかつたこと、株主でない者に株主総会招集の通知を発したこと等の違法があつたとしても、若しそのような違法がなかつたならば決議の結果が違つたかもしれないと推測されるような事情は、乙一号証によつて認めうる本件株主総会の経過、その他の証拠から見て、存在しないと認定し、そのような場合においては、裁判所は株主総会の決議の取消請求を許容すべきでなく、そのことは、商法二五一条が昭和二五年法律一六七号商法の一部を改正する法律によつて削除されたと否とに拘らない旨を判示した。思うに、商法二五一条は、昭和二五年法律一六七号商法の一部を改正する法律によつて削除されたが、それは、従来の同条の規定が、裁判所に一切の事情の斟酌を許し、従つてその裁量権を余り広汎に認めすぎる如く解されるおそれがあつたため削除されたものであつて、商法二四七条によつて提起された株主総会の決議取消の訴訟において裁判所が合理的な判断の下に右取消請求を認容するか否かを決しうることまでも否定しようとする趣旨と解すベきではなく、たとえ株主総会招集の手続又はその決議の方法が違法であつても、株主総会における議事の経過その他から判断して、その違法が決議の結果に異動を及ぼすと推測されるような事情の存在は認められないと原審の認定した本件のような場合(原審の右認定は当審においても是認できる。)において本件請求を棄却した原判示は正当であつて、所論は理由がない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 入江俊郎 裁判官 真野毅 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 岩松三郎)

Ⅲ 設問2(1)について
株主名簿の確定的効力

Ⅳ 設問2(2)について
1.株式譲渡承認の擬制

+(株式取得者からの承認の請求)
第百三十七条  譲渡制限株式を取得した株式取得者は、株式会社に対し、当該譲渡制限株式を取得したことについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。
2  前項の規定による請求は、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合を除き、その取得した株式の株主として株主名簿に記載され、若しくは記録された者又はその相続人その他の一般承継人と共同してしなければならない

+(株式会社が承認をしたとみなされる場合)
第百四十五条  次に掲げる場合には、株式会社は、第百三十六条又は第百三十七条第一項の承認をする旨の決定をしたものとみなす。ただし、株式会社と譲渡等承認請求者との合意により別段の定めをしたときは、この限りでない。
一  株式会社が第百三十六条又は第百三十七条第一項の規定による請求の日から二週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内に第百三十九条第二項の規定による通知をしなかった場合
二  株式会社が第百三十九条第二項の規定による通知の日から四十日(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内に第百四十一条第一項の規定による通知をしなかった場合(指定買取人が第百三十九条第二項の規定による通知の日から十日(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内に第百四十二条第一項の規定による通知をした場合を除く。)
三  前二号に掲げる場合のほか、法務省令で定める場合

2.名義書換の不当拒絶

+(株主の請求による株主名簿記載事項の記載又は記録)
第百三十三条  株式を当該株式を発行した株式会社以外の者から取得した者(当該株式会社を除く。以下この節において「株式取得者」という。)は、当該株式会社に対し、当該株式に係る株主名簿記載事項を株主名簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
2  前項の規定による請求は、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合を除き、その取得した株式の株主として株主名簿に記載され、若しくは記録された者又はその相続人その他の一般承継人と共同してしなければならない。

第百三十四条  前条の規定は、株式取得者が取得した株式が譲渡制限株式である場合には、適用しない。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
一  当該株式取得者が当該譲渡制限株式を取得することについて第百三十六条の承認を受けていること。
二  当該株式取得者が当該譲渡制限株式を取得したことについて第百三十七条第一項の承認を受けていること。
三  当該株式取得者が第百四十条第四項に規定する指定買取人であること。
四  当該株式取得者が相続その他の一般承継により譲渡制限株式を取得した者であること。

+判例(S41.7.28)
理由
上告代理人藤井滝夫の上告理由第一点について。
原判決の確定したところによれば、被上告会社は昭和三四年一二月二日取締役会において、同会社の新株式発行につき、(一)新株式は昭和三五年二月二九日午後五時現在、株主名簿に記載されている株主に対し、その所有株式一株につき新株二株の割合で割り合てる。(二)新株式の申込期間は同年四月二五日より五月一〇日までとする、(三)払込期日は同年五月二一日とする、(四)申込証拠金は一株につき金五〇円とし、払込期日に払込金に充当する旨を決議したところ、上告人は右基準日以前の同年一月二八日その有する旧株式五〇〇株を訴外Aに譲渡し、同訴外人は同年二月一六日被上告会社に株式名義書換の請求をしたけれども、被上告会社の過失により右書換は行われていなかつたので、右基準日当時も依然として上告人が五〇〇株の株主として記載されていたため、被上告会社は同年四月二五日上告人に一、〇〇〇株の新株割当の通知をなし、上告人は一、〇〇〇株の申込みをするとともに証拠金五〇、〇〇〇円の払込みをしたというのである。
思うに、正当の事由なくして株式の名義書換請求を拒絶した会社は、その書換のないことを理由としてその譲渡を否認し得ないのであり(大審院昭和三年七月六日判決、民集七巻五四六頁参照)、従つて、このような場合には、会社は株式譲受人を株主として取り扱うことを要し、株主名簿上に株主として記載されている譲渡人を株主として取り扱うことを得ない。そして、この理は会社が過失により株式譲受人から名義書換請求があつたのにかかわらず、その書換をしなかつたときにおいても、同様であると解すべきである。
今この見地に立つて本件を見るに、訴外Aは上告人から譲り受けた株式につき、前記基準日以前に適法に名義書換請求をしたのにかかわらず、被上告会社は過失によつてその書換をしなかつたというであるから、右株式について名義書換がなされていないけれども、被上告会社は右訴外人を株主として取り扱うことを要し、譲渡人たる上告人を株主として取り扱い得ないことは明らかなところであり、従つて、右基準日に株主であつたことを前提として新株式の交付を求める上告人の本訴請求を排斥した原審の判断は正当である。所論引用の判例は株式譲受人が会社に対して名義書換請求をすることを失念したいわゆる失念株に関するものであって、本件と事案を全く異にする。要するに、原判決に何等所論の違法はなく、論旨は採用に値しない。
同第二点について。
被上告会社が上告人に対してなした新株割当通知は、引受権を有しない者に対してなされたものであり、また、上告人の被上告会社に対してなした新株引受申込は引受権を有しない者によつてなされたものであつて、いずれも無効である旨の原審の判断は、正当であり、その判断の過程に所論違法はない。論旨は、独自の見解に基づき原判決を非難するものであつて採用できない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 長部謹吾 裁判官 入江俊郎 裁判官 松田二郎 裁判官 岩田誠)

・甲会社は、Bが実際に株主であるかという実質的な権利関係について調査すべきであり、Bが実質的な権利者であることが疑わしい場合には、名義書き換えに応じなくとも不当拒絶には当たらない!

Ⅴ 設問2(3)について
1.他人名義による株式の引き受け

・実際に株式を引き受けた者が株主となる!(実質説)
+判例(S42.11.17)
理由
上告代理人谷川八郎、同川合常彰の上告理由第一点について。
他人の承諾を得てその名義を用い株式を引受けた場合においては、名義人すなわち名義貸与者ではなく、実質上の引受人すなわち名義借用者がその株主となるものと解するのが相当である。ただし、商法第二〇一条は第一項において、名義のいかんを問わず実質上の引受人が株式引受人の義務を負担するという当然の事理を規定し、第二項において、特に通謀者の連帯責任を規定したものと解され、単なる名義貸与者が株主たる権利を取得する趣旨を規定したものとは解されないから、株式の引受および払込については、一般私法上の法律行為の場合と同じく、真に契約の当事者として申込をした者が引受人としての権利を取得し、義務を負担するものと解すべきであるからである。されば、右と同旨の見解に立ち上告人の本訴請求を排斥した原判決は正当であつて、原判決に所論の違法はない。所論は、右と異る見解に立つて原判決を攻撃するものであつて、採用できない。
同第二点について。
控訴人(上告人)は本件新株の引受に関し、単なる名義貸与者にすぎず、実質上の当事者でないとする原審の認定は、原判決挙示の証拠に照らして肯認することができる。したがつて、原判決に所論の違法はなく、所論は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨選択ないしは事実の認定を非難するに帰し、採用できない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 石田和外 裁判官 色川幸太郎)

2.実質説による場合

+(株式の譲渡の対抗要件)
第百三十条  株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない。
2  株券発行会社における前項の規定の適用については、同項中「株式会社その他の第三者」とあるのは、「株式会社」とする。

3.形式説による場合

Ⅵ おわりに


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